多機能低下不全症候群

聞きなれない病名。
多機能低下不全症候群・・・これが私の総てでした。
医師ですらどんな病気かもわかることが少ないといわれ、医師の間でも知らない人が多いです。
この病気は、一言で言うなら全身を侵す病気です。
様々な障害を引き起こし、機能低下不全に至り、最終的には死亡します。原因は不明で、治療法もありません。非常に珍しく、世界的でみても数例の報告があるだけです。日本でも、はじめての症例と言われ、情報も全くありません。世界的な文献によると胎児期に亡くなることが多く、運良く出生出来たとしても乳幼児期まで生きることは出来ないそうです。様々な障害が複雑に絡み合い、治療は包括医療となります。予後が絶対的に悪く、両親や患児との時間を多く取るようにと在宅医療が推進されています。私も生まれる前から長くは生きられないといわれてきました。そして両親には何があってもおかしくないから出来るだけ長く、一緒にいる時間を大切にし会わせたい人がいるなら早く会せてあげなさい、と言われ続けてきました。
小児期まで生きることが出来ない・・どの世界的文献をみてもそう記述されています。でも私は現に今、生きている。ここまで生きてこれたのは家族の誰にも負けない強い愛情と互いを信じあう心、そして何より医師たちの懸命な治療と手厚い看護のお蔭だとしか言い表せません。この病気は治療を施しても長くを生き延びることは出来ないことから医師のほとんどが治療を諦めてしまうそうです。幸いにも私の医師たちは皆、情熱的で無駄だとわかっていても濃厚な治療を続けてくれました。それも私がここまで生きてこれた事の現れだとしか思えません。この病気には実に沢山の症状が現れ、経過も一人一人異なるそうです。
多くの染色体異常を伴い、自己免疫疾患、悪性腫瘍、感染症に罹患します。私は、いえ、両親は本当に毎日不安と未来の見えない絶望の淵で、マニュアルなんてない、手探りで私を今日まで生かしてくれました。両親はいいます。「生かせる事に必死だった。どんなに重い障害でもいいからとにかく生きて欲しい。でもそれはお前にとって本当に幸せだったのかと問われれば答えることが出来ない」と。私は2人の子どもに生まれ、本当に良かったと思っています。心から信頼し信じることが出来る両親、きっと私をここまで生かすことは私が想像できないくらいに壮絶な戦いだったに違いありません。私は2人の子どもだったからここまで生きることが出来た。そう信じることが出来ます。病気をもって生まれてきて、決して良かったとは言えません。得たものがある一方で、失ったもの・諦めたものの方がはるか多かったからです。だけど、一つだけ。一つだけ胸を張って、前を見据えて言うことが出来る。<生まれてきて良かった>私は両親や周りの人に絶望や後悔を与えてしまっただけかも知れない。でも両親にはそんな絶望や後悔や無念な思いを抱いて欲しくはない。私は、あなたたち2人の子どもで良かった。本当に心からそう思います。
この病気は稀少難病です。原因不明で通常では起こらないようなことが次々に起こっていきます。
どんな病気でも、諦めないで欲しい。未来は絶望的なものでしかないかも知れない。でもそこにほんのひとかけらの光を見いだすのは自分自身です。
あまり知られていないこの病気、だけど諦めずに生きることは普通の人たちと同じ想い。感じる心は、考える心は、想う心は、普通の人たちと同じ持ち合わせています。

生きよう・・・生きる・・・生きたい・・・

私の素直な気持ちです。

HOME

ランダム
ホムペ編集 ホムペ作成


(C)ecaco